ゲートカット位置の変更による歩留まり向上
プラスチック射出成形では、ゲート(流入口)から金型内に樹脂が注入され固化されますが、成形後には、ゲート部の無駄な樹脂が一部残りますので、これを取り除く必要があります。このゲートカットには、ニッパーを使用しますが、ゲートの位置・平面部の広さによって、上図のようにニッパーの刃が当てにくい場合があります。このような場合、ゲート残りという不要箇所の除去が不十分な状態が多く発生しやすくなり、歩留まりが悪化によるコストアップの要因となります。
ゲート残りが原因で歩留まりが悪化する場合には、ゲートカットの位置を変更することで改善することができます。ポイントは、ニッパーが入りやすい平面部を広く確保することです。プラスチック射出成形においては、ゲートカットの工夫も歩留まり改善要素の一つとなります。安定したゲートカットを行なえる位置にゲートを設定することで量産時の歩留まり向上によるコストダウンを図ることが可能です。
プラスチックの射出成形では、ゲート部分の不要箇所を除去する必要がありますが、切断するためのニッパーを入れづらい形状の場合は、ゲート残りが発生し外観上不具合となってしまいます。これを避けるために、当事例では、ゲート位置を変更しています。プラスチック射出成形部品の設計においては、上記のような射出成形の特性を理解した上で、金型の形状設計を行うことで量産時に部品の歩留まりを改善してVAを図ることができます。