ホットランナー金型の使用による材料費削減
プラスチック射出成形部品に使用する金型には、ランナーとスブルーと呼ばれる軟化した樹脂の通り道があります。通常の金型では、ランナーとスプルーの部分に残った合成樹脂は成形部品と同様に冷やされ硬化して、不要部位として排出されます。プラスチック射出成形の機構上で必要なロス分ですが、材料費と処分費用は恒常的に発生し、多量生産の成形部品ほど無駄が多いと言えます。
多量生産の成形部品の場合には、ホットランナー金型を使用することでコストダウンを図ることができます。ホットランナー金型は、上図のようにスプルー・ランナーの部分を加熱制御し、常に合成樹脂の流動性を保つことで次の射出に使用することができます。ホットランナー金型の使用により、合成樹脂材料費と、処分費用を削減することができ、多量品ほど経済的に生産を行なえます。
ホットランナー金型は、スプルー・ランナーの部分を加熱制御し、材料費の無駄を抑えることができる便利な特殊金型ですが、その製作コストが高額になり、多量生産向けでないと償却の問題がありますので注意が必要です。生産計画と金型償却コストの条件を見合わせて使用を検討することが重要です。プラスチック製品の設計者は、ホットランナー金型のような、量産性に優れた特殊金型を知ることで、多量生産におけるVAが可能となります。